「幸神社」と書いて「さいのかみのやしろ」と読む。この道標から西へ延びる細い道を進むと、やがて小さな鳥居が現れ、その奥に小さな祠が見えてくる。上賀茂、下鴨の両神社をはじめ、京都で知られた神社に比べて、あまりにも慎ましやかな姿ではあるが、由緒からすれば、京都を代表するありがたい社なのである。神社の創建は古く平安京にまで遡る。延暦一三(七九四)年、桓武天皇が平安京に都を作り、その際、都の東北の隅、鬼門にあたるこの地に都の守護神として社を造営したのが始まりとされる。
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さてここで、「御所」の鬼門を思い出して欲しい。あの角で御所を護っていた猿、あれと同じ猿が実はこの「幸神社」にも祀られているのだ。これはまた左甚五郎作とも伝わるもので、小さな祠の裏手、東北の隅にひっそりと祀られている。まさかこんな裏道の小さな祠の、更に裏の片隅に居る猿が、今も京都の街を護っているとは誰もわからないだろうが、これこそが京都の街の奥深さ、凄さなのである。幸神社にはまだまだ深遠なる由緒や様々な霊験があるのだが、それは是非実際に足を運んで確かめていただきたい。出雲の阿国から始まる歌舞伎や、道行く人々の無事を祈る道祖神など、ここから始まる故事来歴は無数にあるのだ。