乗継割引制度に大いなる矛盾が内在していることは知る人ぞ知る、である。何かといえば、制度の条文に方向を縛る記述が一部を除いてないため、行路が折り返し乗車となる往復乗車形態であっても、条件さえ整っていれば「乗継割引」が適用可能という点。具体例をあげるならば、以前、テレビ番組などでも紹介され話題となった、東京からの熱海往復がわかりやすい。東京から新幹線で熱海まで行き、その日のうちに特急「踊り子」「スーパービュー踊り子」などの東海道本線の特急列車で東京へ戻る場合、あるいは、往きは「踊り子」などの特急列車に乗り、その日ないしは一泊した翌‐に新幹線で東京まで帰ってくる場合でも、規則上、東海道本線列車の特急料金を半額とする解釈が成り立つのである。
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なんだか、JR東日本が一方的に損をしている感じもするけれど(同区間は新幹線がJR東海、在来線がJR東日本の経営)、「乗継割引」の条件に往復乗車形態は不可とは記されていないため、制度の本来の設定趣旨に反するような、かかる現象も生じてしまうという、笑うに笑えない一席。もっとも、聞くところによれば、昭和四四(一九六九)年ごろまでは往復乗車形態は「乗継割引」の適用外とする解釈運用だったらしい。しかし、この解釈を続けたならば、その後に、例えば東京から新幹線で京都まで行き、そこから北陸方面へ向かう特急車に乗る旅客や、博多から岡山へ出て特急「やくも」で米子方面に向かう旅客が、「乗継割引」の恩恵を受けられない事態も生じたかもしれない。新幹線と並行在来線は同一線路とみなす旅客営業制度上の原則(例外あり)から、前者は山科〜京都間か、後者は倉敷〜岡山間か往復乗車形態となってしまうからである。京都から北陸方面へ向かう特急列車はみな米原だったため、例えば東京方面よりの「ひかり」から京都で「雷鳥」に乗り継げば、京都〜米間が往復乗車形態となった。